ペレポストを開発して8年。
毎年、中心にペレポストを枯れ葉の代わりに
入れてきた。
自生地では誰も肥料などやらない。
これが野生植物の原理原則、根本である。
それでも何万年も・・・・何千万年も生き続けて来た。
この当たり前のことが、ラン栽培でも、山野草栽培でも・・・・
原種を作りながら・・・・肥料を与えて作るのが当然のようになっている。
自然の法則と大きく乖離した栽培になっている。
なぜ、こういう栽培になったのか・・・???
その理由は、
栽培に自然界の炭素循環が構築されていないからである。
枯れ葉、植物死骸のリグニン、セルロース・・・それを分解する微生物。
特に好気性菌である材木腐朽菌が削除されてきた。
枯れ葉にはほとんど窒素が含まないから、嫌気性菌よりも、
好気性菌が支配するエリアである。
地球の地面は、枯れ葉のリグニン、セルロースを分解する好気性菌が
支配するエリアである。
この法則で生きてきた典型的な植物がこのオオタニワタリという羊歯である。
約3億年前に誕生した羊歯植物。
羊歯も多様に進化したが、オオタニワタリは着生羊歯である。
なぜ着生植物に進化したのか??
林床での光の負け組み植物だからである。
より多くの光を求めて、ヘゴのように上に上に樹木のように伸びる羊歯もある。
しかし、オオタニワタリは・・・高い日の当たる場所に着生することを考えた???
着生ランが真似た生存方法である。
しかし、樹上で生きる植物で最も苦労するのが・・・枯れ落ち葉を調達すること。
土壌に無い樹上では・・・
生きるエネルギーの炭素を枯れ落ち葉のリグニン、セルロースから
得なければならないからである。
地上なら、地面に枯れ落ち葉が自然と舞い落ち堆積する。調達に苦労はない。
だから多くの植物は地上の枯れ落ち葉の中で生きる。
樹の上は、地上より圧倒的に枯れ落ち葉が少ない。
ならば・・・貴方なら・・・・・どうする???
オオタニワタリは、写真のように葉を漏斗のようにした。
コウモリガサを逆さにしたようにした。
一枚でも多くの枯れ葉を得るために葉を大きく広げ、葉の中心に溜め込む。
この中に枯れ落ち葉を分解する材木腐朽菌が棲んでいる。
この炭素と、スコールの雨水に含まれる尿素の僅かな窒素で・・・・
タニワタリはいきつづけている。
枯れ落ち葉の代わりにペレポストがなるのか、どうか????
それを知るために、8年試験を行なった結果が、右上の写真である。
10年植え替えなしで元気である。
土壌に生える植物なら、こんな鉢で植え替えなしで元気に生きることは出来ない。
つまり、オオタニワタリの養分m、水分吸収は、根に頼っているのではないということ。
葉の漏斗状の展開は・・前記したように「枯れ落ち葉」を集めると同時に、
水分をも集め、光をも集める・・・。
更に、オオタニワタリの枯れた葉は・・・10年も前の枯れ葉が、そのまま幹についている!
木材腐朽菌が分解できない!
己の枯れ落ち葉を・・・そのままにして・・・他の枯れ落ち葉を分解する。
これはヘゴの根でも見られる。
ゼンマイの根・・・オスマンだでも見られる!
ラン菌である白色木材腐朽菌が・・・容易に分解できない!
何故なのか???
羊歯植物にとって、3億年の歴史は、病害菌にもなる木材腐朽菌との戦いであった
羊歯植物は樹皮を持たない!樹皮は病害菌から身を守る鎧である。
この鎧を持たない羊歯が・・・樹木のように上に上に伸びたら・・・風雪で折れる。
この傷口から・・・菌は侵入する!
ヘゴ・・・。
脆弱な茎の周りに・・・材木腐朽菌から犯されない根を張り巡らす。
病害菌から身を守ると同時に・・・この根の張っている構造は・・・風にもしなやかに・・・対応する。
つまり・・・東京スカイツリーの骨組みは・・・ヘゴを模倣した???
そういうようにも見える。
その後生まれた樹木にとっても・・・現在も延々と攻防戦は続いている。
幹に樹皮を破って穴を掘る動物も、昆虫も鳥もいる。
ここから菌は侵入する。
樹皮だけでは足りない!
生体防御機構まで備える。
日本中の巨木で、材木腐朽菌との戦いの傷跡のない木はない。
どんな堅牢な樹皮の鎧をまとっても・・・風雪で折れる場合もある。
剥き出しの傷口は・・・細胞が死んだ木質。
材木腐朽菌からみれば・・・枯れ落ち葉と同じである。
今日でも、ナラをからすナラタケ菌は木材腐朽菌である。
材木腐朽菌の中には、樹木を死なせる病害菌になったものもある。
しかし、枯れ落ち葉を分解してくれる材木腐朽菌は・・・生きるために大切な菌でもある。
強靭な樹皮を持たないオオタニワタリ、ヘゴなどにとって、
木材腐朽菌は危険な菌である。
しかし、木材腐朽菌の枯れ葉分解の力を利用しなければ・・・オオタニワタリは生きられない!
そうであるならば・・・・
木材腐朽菌が容易に分解できない葉の構造成分にすればよい。
根にとっても・・・木材腐朽菌が危険な菌である。
菌が侵入できない組織にすればよい。
ヘゴの根は樹皮を持たない茎をガードする。
風などで容易に折れない網目のように張り巡らしている!
エッフェル塔の鉄骨の組み方????
そういうことで、ラン栽培では・・・短時間でボロボロに腐らないヘゴ、オスマンダを利用した。
ランの先輩は・・・非常に頭がイイのである。
ラン栽培にとって「ラン菌」にもなる白色木材腐朽菌は、
コンポストを激しく劣化させる危険な菌だった!
しかし、ランは・・・この危険な菌と共生して生き延びることを考えた。
子孫継続のために・・・。
そういうことで、ラン栽培から「ラン菌」は・・・コンポストを劣化させる悪玉菌に見られたのである。
コンポストの劣化は・・・即・・・根腐れを誘引する!
ペレポストは非常に巧妙に作られた用土である。
白色木材腐朽菌が激しく繁殖出来ない「樹皮」で・・・製造している!
樹木の樹皮は木材腐朽菌と戦う「鎧」である!
ペレットにする機械が発明されて、初めて可能になった。
しかし、軽石のように・・・木材腐朽菌が分解できないペレットでは「炭素循環」は出来ない。
水を吸うと「膨張」して・・・木材腐朽菌が繁殖出来る水分を保水できる!
更に生の樹皮には豊富な養分、ホルモンを含む「形成層」があるから、
同時に・・・植物に必要なほとんど成分が含有することになる!
江戸時代、明治、大正時代の東北地方を襲った大冷害による飢饉。
このとき、松皮の形成層を食べて餓えを凌いだ!
今、山形県の道の駅では「松皮餅」を販売している。
羊歯植物でも根に澱粉を貯蔵するものがある・・・・ワラビ。
だから「ワラビ餅」を作って販売しているところがある。
お城の松を植える!
なぜか・・・景観???
そういうことでは無く・・・敵から兵糧攻めに遭った時・・・前記のように・・・松の皮を食べて耐え戦った!
森林の負け組み植物であるランは・・・常に他の植物から植物にとっての兵糧である「光攻め」。
そういうことで・・・「敵の敵は・・・味方」ということで・・・材木腐朽菌と共生する道を選んだ。
なんか・・・選挙と同じような作戦であるが・・・子孫を残すということは・・・大変なこと。
水ゴケに植えて肥料を与えて・・・花が咲いた!
そういう単純なことではことではなく・・・ラン菌という目に見えないものと手を結んで生き延びてきたのである。
水ゴケだけでなく・・・・
ヘゴにも、オスマンダには・・・この養分が無い!
この貧乏が・・・材木腐朽菌に対し最も効果がある。
貧乏な国などには・・・侵略する意味がないのと同じ。
肥料をヤレバヤルホド・・・病気が出ることになる。
水ゴケはどうか??
コケの細胞壁は木材腐朽菌に相当耐えられる組織である。
クロレラ。藻の細胞壁。
コケの細胞壁は・・・この藻から進化したもの。
人間の消化液・・・酵素では分解できない。
ナメクジの消化酵素なら分解できる。
だから・・・ナメクジは・・・新鮮なコケを食べている。
更に・・・樹が倒れて材木腐朽菌が棲むところ・・・同じ条件のところでリグニン、セルロースを分解。
枯れ落ち葉の中にも生息している。
地面にダンボールを敷くと・・・そこにナメクジが生息。
オオタニワタリの葉を人間も食べるが・・・ナメクジも食べる。
こういう着生植物の根は・・・ナメクジのエサに最高である。
ヘゴの根。
ナメクジが食べたくないような根でなければならなかった。
オオタニワタリも・・・根だけに頼らないで・・・葉にも材木腐朽菌を養殖し養分を得る。
こういうシステムのところに人間が肥料を与えれば・・・このシステムは直ぐに崩れる。
しかし、水ゴケに肥料を与えれば・・・・木材腐朽菌の分解速度は極めて速くなる!
肥料を与えなければ・・・ランは育たない!
そういうことで2、3年で植え替え。
しかし、水ゴケにはラン菌が生息していないから・・・・炭素循環はない。
ラン菌が生息している水ゴケがあれば・・・・昔は・・・あった!
輸入水ゴケになってから・・・そういう水ゴケはなくなった!
この水ゴケの耐久性を長くするために・・・水ゴケにオスマンダをミックス。
本当に昔のラン作りの先輩方は・・・創意と工夫で・・・ランを育てた。
そういうことでゼンマイの根のオスマンダを輸出!
今は・・・ゼンマイの根を掘って生活している人いるのか????
簡単なヘゴを使って・・・ヘゴはワシントン条約で規制。
なんか・・・日本ウナギと・・・・
育てないで「消耗」では・・・・規制される時代になった!
そういうことでペレポスト2号ゴールドは「赤松」「カラマツ」の生樹皮で製造。
最初ペレポスト2号は「杉皮」で製造した。
杉皮は材木腐朽菌が容易に分解できない樹皮である。
だから杉皮で屋根を葺いた!
この杉皮でペレットを作ると・・・耐久性が増す。
軽石と同じような粒粒を持続する!
しかし、これでは「炭素循環」にはならない。
軽石の代わりに過ぎない!
つまり一部のランは作れるかもしれないが、
多くの植物に使えるペレットではない。
そういうことで・・・杉皮より・・・耐久性は劣るが・・・・
ラン菌が分解できる「カラマツ」「赤松」の樹皮で作ったのが2号ゴールドである。
宇井清太の発見した白色木材腐朽菌(ラン菌)は「病害菌」ではない。
この菌を勝ち組み菌にすれば・・・病害菌は繁殖出来ない。
菌も地表では熾烈な領土争いをしている!
ペレポスト栽培は、自然の法則を巧妙に鉢に、庭に再現する栽培方である。
植物3億年の法則である。
オオタニワタリの生態をパクッタ?????
着生ランはほとんど皆同じ。
プラントハンターの名人はいう。
「この木にランが着生しているか、いないかは・・・・・
根元に・・・・羊歯が生えているか、いないかを・・・先ず観察する」
根元に羊歯が自生していれば・・・ランがある!
これが・・・胞子と胚乳を持たないランの種子の・・・・類似である。
原始植物と最も進化したランが・・・・到達したところは似ていたということ。
地球の重力に逆らって・・・・子孫を空中に飛ばすには・・・微細にしなければならない。
目の付け所が・・・・名人は違う!
微細であれば・・・中国から・・・大氣汚染粒子も飛んでくる!
銀座に木造の5階建てのビルが出来た・・・新聞に載っていた。
これから・・・木造建てのビルを普及するのだとか。
なぜ、今、木造建築なのか??・
戦後植林した木が・・・50年以上になり伐採年齢になったからである。
宇井清太はこういう時代がくることを洞察した。
木材・・・必ず「生樹皮」が廃棄物として大量に出る!
これでペレットを作れば・・・皆さんに安く供給出来る!
そういうことである。
水ゴケは栽培できない。
他の国に自然を荒廃させる!
こういうことに・・・ラン愛好家は無頓着????
他の国の自然破壊など・・・カンケイナイ!
こういう正論を宇井清太が言うものだから・・・・言われて痛い人から嫌われる。
でも・・・水ゴケが・・・本当に素晴らしいコンポストなの???
これからも水ゴケなの・・・・貴方は。
ランは貴方の側にいたいのだ。
貴方というのは・・・ラン菌なの・・・・誤解しないで・・・・。
このラン菌(材木腐朽菌)による炭素循環栽培法を構築する時、
宇井清太がモデルに選んだのがオオタニワタリである。
地球上の陸上の植物の木材腐朽菌による炭素循環の原形が、
このオオタニワタリに見ることが出来るからである。
海から植物が陸上に上がったとき・・・・コケ。
コケから羊歯。約3億年前。
同じ頃・・・枯れ葉を分解する木材腐朽菌が誕生。
この木材腐朽菌をランはラン菌として共生するようになったには、
必ず・・・理由があるはずである!
それは・・・枯れ落ち葉に含む澱粉から作られたリグニン、セルロースである。
他の菌では・・・この炭水化物を分解できない!
しかも、木材腐朽菌の中でも白色木材腐朽菌のみである。
褐色木材腐朽菌では、分解できない。
この木材腐朽菌は・・・逆に緑の葉には弱い!
緑の葉には窒素が含むから・・・腐敗醗酵菌が勝ち組み菌になる。
だから台所生ゴミはEM菌で醗酵腐敗する。
そういうことで、地球の陸上の地面には枯れ葉があり、木材腐朽菌が主役になる。
しかし、樹上では、枯れ葉を確保するのは簡単ではない。
そこで、オオタニワタリの葉は、より多くの枯れ葉を集めるのに便利なように展開。
この羊歯から後発の植物が学んだ???真似た??パクッタ???
パクりの名人ラン科植物などは、多くのものをこの植物からパクっている?
オオタニワタリ類の羊歯植物は亜熱帯、温帯の着生羊歯である。
熱帯雨林を発生起原とする羊歯で、北上して日本の伊豆諸島、
三重県・・・・まで自生地を広げた。
同じ羊歯植物でも、樹上に着生するオオタニワタリは
最も典型的な地球の炭素循環のシステムの中で、
生き続けて来た羊歯である。
そういうことで、右の写真の鉢は、自生地と同じように・・・・???
約10年植え替えなし、同じ場所に置いて作ってきた。
植物は移動できないからである。
だから、試験する場合は、同じように10年同じ場所で観察してきた。
そして10年後、ようやく、このページを書く気持ちになった。
(2013 7月 15日)
オオタニワタリに見る
炭素循環の原形
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